「立正安国論」の肝要を拝し奉る(1)

「立正安国論」って何ですか?

 みなさんは、「立正安国論」という御書をご存知でしょうか?

 「えっ、ぜんぜんわからないよ~」という人から、「ああ、知ってるよ。日蓮聖人が鎌倉幕府に提出したんだよね?」という人まで、実に様々かと思います。

 学校の歴史の授業で日蓮大聖人について学ぶとき、どの教科書でもたいてい「立正安国論」について触れています。それほど「立正安国論」は有名なんですね。

 でも、「立正安国論」が一体どのような御書であるかを正しく理解している方は、きっと少ないのではないでしょうか。「フフフ、実は私、前に読んだことあるのよね~!」という人でも、それは同じです。なぜでしょうか?

 それは、日蓮大聖人の仏法、ことに大聖人一期の御遺命を正しく知らなければ、「立正安国論」の御聖意を正しく拝することは到底できないからです。ちょうど医学知識のない人が医学書を読んでも、チンプンカンプンなのと同じです(笑)

 そこに浅井先生が、富士門流の地下水に達した透徹の教学力をもって、「立正安国論」の御聖意を正しくお教え下された「立正安国論謹講」の有難さがあるのです。

 このブログでは、「立正安国論謹講」をもとに作られた教学試験の問題文を通して、「立正安国論」の肝要を拝させて頂きたいと思います。

 それでは、さっそく拝読して行きましょう!

立正安国論こそ国家安泰・世界平和の一大明鏡

 立正安国論は、日蓮大聖人御歳三十九歳、立宗より七年目の文応元年七月十六日に、時の国主・北条時頼に宛てられた国家諫暁の書である。

 すなわち正嘉元年の大地震以来打ち続く天変地夭を御覧になり、これ国中の謗法に由ると判ぜられ、もし謗法を止めなければ、日本一同今生には他国侵逼の大難を受け、後生には阿鼻地獄に堕することを厳然と予言され、以て仏国実現を強く促し給うたものである。

 そして「他国侵逼」の御予言を拝するに、四方を海に囲まれた日本において、当時の誰人がこれを信じたであろうか。しかし御予言は一分も違わず、十四年後に符合したのであった。ゆえに本論の奥書に云く「此の書は徴有る文なり」と。

 まさに立正安国論こそ、理論と現証の一致を以て御教示下された、未来永遠にわたる国家安泰・世界平和の一大明鏡である。ゆえに人類の存する限り国家の在る限り、立正安国論に示された法則のままに、国家も人類も動いていくのである。

令和2年・教学部三級試験問題「問1」

 いかがでしょうか。「立正安国論」がいかなる御書であるか、その本質を端的にお示し下された、たいへん有難いご指導ですね。

 立正安国論は、単なる「理論」を説いた御書ではありません。実に他国侵逼(他国からの侵略)の予言的中という「現証」を伴っているのです。ですから、大聖人の仰せのままに、国中の謗法を止め、正しい仏法を立てるならば、国は必ず安泰になります。

 まさに立正安国論こそ、「理論と現証の一致を以て御教示下された、未来永遠にわたる国家安泰・世界平和の一大明鏡」なのです。