日蓮大聖人とはいかなる御方か(3)立正安国論の予言的中

「国」を根底からお救い下さるとは?

 前回の記事では、日蓮大聖人こそ、末法濁悪の人と国を根底からお救い下さる大慈大悲・絶大威徳の御本仏であられること、そして、「人」を根底からお救い下さるとは、凡夫を仏にして下さるのだということを書きました。

 今回は、「国」を根底からお救い下さるとはどういうことかについて、広告文をもとに書いてみたいと思います。

「基礎教学書・日蓮大聖人の仏法」広告文

国家の興亡盛衰の根本原因は仏法の正邪による

 国家の興亡盛衰の根本原因は仏法の正邪による。もし国中が邪法を信じて正法に背けば国に災難が起こり、正しい仏法を立てれば国は安泰になる。これ仏法と国土を守護する諸天善神の力用による。

基礎教学書 日蓮大聖人の仏法(広告文)

 まず、このことをしっかりと押さえておきましょう。

 宗教というと、「個人の心の問題」というイメージがありませんか?

 せいぜい「心の問題」から少し発展して、「まあ、カラダや生活に多少の影響はあるかもね」というのが、世間の一般的な認識ではないでしょうか。

 ところが、仏法では、なんと「国家の興亡盛衰の根本原因は仏法の正邪による」と説き切っているのです。いやはや、すごいですね。

 でも、このことは、仏法を知らない人にとっては、ちょっと理解の及ばないところかもしれません。

 そこで、以下では、浅井先生の「立正安国論謹講」のご指導を通して、このことをより深く見てみたいと思います。引用箇所は、日蓮大聖人が「立正安国論」に示された災難興起の原理について、浅井先生が解説して下さったところです。

 さて、災難の原因を具さに拝せば、三意が含まれている。すなわち一に背正帰悪のゆえであり、二には神聖去り辞するゆえであり、三には魔鬼来り乱るるゆえである。

 まず世人が正法に背き悪法に帰する。これを見て諸天善神および仏法護持の聖人が国を去る。よって天魔・悪鬼が国土に乱入し、その結果国土に災難がおこるという順序である。まさに人々の「背正帰悪」こそ災難の根本原因である。

 この災難興起の大原理は、縦に三世を貫き横に法界の辺をきわめた仏智の御断定、大聖人の深き御確信であられる。今日、部分観にとらわれた科学万能・唯物偏重の風が世間に幅をきかせているが、微々妙々なる天・地・人の関係を知らないこれら世間の小智では、及びもつかぬ大原理である。

 この大宇宙は一大生命体である。仏法はこの実相を明かすに当って、十界・十如是・三世間・三諦等の法門を説いているが、大宇宙は、それ自体が微妙なる体系を持った一大生命体であると共に、その中にあるすべての存在は相互に関連し合い影響しあっている。一つの変化は他に変化を与えずにはおかない。

 よって、もし人の心が地獄界となれば、ただちに天界に感応し、所住の国土また地獄界の相を現ずる。これ色心不二、依正不二、身土不二の原理である。ゆえに大聖人は瑞相御書に

夫れ十方は依報なり、衆生は正報なり、依報は影のごとし、正報は体のごとし、身なくば影なし、正報なくば依報なし、又正報をば依報をもって此れをつくる」と。

 さらに「去る正嘉・文永の大地震・大天変は、天神七代・地神五代はさておきぬ、人皇九十代二千余年が間、日本国にいまだなき天変地夭なり。人の悦び多多なれば天に吉瑞をあらはし地に帝釈の動あり。人の悪心盛なれば、天に凶変地に凶夭出来す。瞋恚の大小に随いて天変の大小あり、地夭も又かくのごとし」と仰せられている。以って人の心と、天地の感応の微妙を知るべきである

「立正安国論謹講」

 いかがでしょうか。大宇宙は一大生命体であり、人々の心と天地とは相互に関連し影響し合っています。そこに、人々の生命に重大な影響を与える「仏法の正邪」が、「国家の興亡盛衰」を決する根本原因となる所以があるのです。

立正安国論の予言的中

立正安国論(第一紙・御真蹟) (顕正会公式サイトより引用)

 さて、ここまでお読み頂いた方の中には、「うーん、たしかに言われてみればそうかもしれないけど、スケールが大きすぎて、あんまり実感がわかないなあ・・・」と思われた方がいるかもしれません。無理もないと思います(笑)

 しかし、もし現証(現実の証拠)があるとしたら、はたしてどうでしょうか。それが、日蓮大聖人が御在世(鎌倉時代)に示された「立正安国論の予言的中」の大現証です。広告文を拝してみましょう。

 日蓮大聖人は時の国主に対し、立正安国論を以て
念仏・真言・禅・律等の邪法に執着して、法華経の肝心たる三大秘法を立てなければ、この国必ず他国侵逼の大難を受ける」(取意)と諫められ、さらに
国を失い家を滅せば、何れの所にか世を遁れん」と警告された。

 しかし日本は四方を海で囲まれている。当時、この他国侵逼の御予言を信ずる者は誰もいなかった。

 だが十四年後、御予言は事実となった。世界を席捲した大蒙古が、日本を亡ぼすに足る圧倒的な兵力を以て二度も襲来したのである。

 日蓮大聖人の御予言は、海外情勢などによる推測などではない。実に、仏法を守護する諸天善神に申し付ける絶大威徳を以ての御断定であれば、違うことがないのである。

 もし他国侵逼が事実になれば、人々は始めて改悔の心を起こし、死後の無間地獄の大苦を消滅させることができる。立正安国論の御予言はまさにこの大慈大悲であられる。

 ゆえに大聖人は
現世に云いおく言の違わざらんを以て、後生の疑いをなすべからず
 また
あへて憎みては申さず、大慈大悲の力、無間地獄の大苦を今生に消さしめんとなり」と仰せられている。

 また、この予言的中を見れば、もし日本国一同が日蓮大聖人を信じて南無妙法蓮華経と唱え奉り、御遺命のままに国立戒壇を建立すれば、日本は仏国となって真に安泰になること、断じて疑いない。これが「立正安国」の実現である。

基礎教学書 日蓮大聖人の仏法(広告文)

 いかがでしょうか。日蓮大聖人が、未だ何の兆しもない時になされた立正安国論の御予言、つまり「念仏・真言・禅・律等の邪法に執着して、法華経の肝心たる三大秘法を立てなければ、この国必ず他国侵逼の大難を受ける」が寸分も違わず的中した歴史的事実こそ、まさに邪法に執着して正法に背けば国に災難が起こることの「現証」にほかなりません。

 また、この予言的中は、大聖人に背く御在世の人々を改悔させ無間地獄の大苦から救わんとの大慈大悲であり、同時に、「もし日本国一同が日蓮大聖人を信じて南無妙法蓮華経と唱え奉り、御遺命のままに国立戒壇を建立すれば、日本は仏国となって真に安泰になる」ことの大現証でもあるのです。「罰を以て徳を推する」(四信五品抄)とはこれですね。

広宣流布・国立戒壇建立の重大意義

 たとえ政治政策の最善を尽くしたとしても、教育カリキュラムを改善したとしても、警察官の人数を増やしとしても、もし人々の生命が濁っていたら、およそ抜本的な解決にはなりません。まして、年々に激しくなる異常気象を止める術はなく、もし他国来難が事実になれば、そのとき国を守る方途もありません。

 また、世界に目を転ずれば、米中対決を軸として、世界は激動の時代に入った感があります。異常気象、飢餓、疫病、戦争等は世界中で頻発しています。

 まさに全世界の人々が、真に国家を安泰にする方法を知らず、これを模索し続けているのです。

 この全人類が心の奥底で求めてやまない国家安泰の秘法こそ、まさしく日蓮大聖人の仏法なのです。

 具体的には、日蓮大聖人の御遺命のままに、広宣流布の暁に、仏法を守護し奉るとの国家意志の公式表明を手続きとして、富士山天生原に「国立戒壇」を建立し、そこに大聖人の御法魂たる「本門戒壇の大御本尊」を奉安し奉るとき、日本は日蓮大聖人を魂とする「仏国」となり、真の安泰を得るのです。

 その大利益について、浅井先生は次のように指導下されています。

 この仏国について立正安国論には

 「仏国其れ衰えんや、乃至、宝土何ぞ壊れんや」と仰せられている。

 仏国は諸天が厳然と守護するゆえに、国土の災難は消滅し、王法も安定して自界叛逆なく、他国もこの国を侵さない。

 さらに全世界の人々がこの本門戒壇に詣でるの時いたれば、地球上が「事の寂光土」となり、戦争も飢餓も疫病も消滅し、人ごとに三大秘法を行じて一生成仏を遂げることができる。

 教行証御書には

 「前代未聞の大法此の国に流布して、月氏・漢土・一閻浮提の内の一切衆生、仏に成るべき事こそ有難けれ有難けれ」と。

 これこそ日蓮大聖人の究極の大願であられる。

基礎教学書第1章

 広宣流布・国立戒壇建立の重大さがよくわかります。